「ECサイトでのコンテンツマーケティングについて知りたい」
「SEOでアクセスをもっと集めたい」
この記事はそんな方のための記事です。ECサイト運営者にとっての悩み・課題といえばとにもかくにも集客、そして売上アップではないでしょうか? しかし年々ECサイトでの集客は難しくなっています。広告費も高騰し、広告出稿しても費用に見合う効果も出にくくなっています。そこで注目されているのがコンテンツマーケティング。作成したコンテンツが資産となり、取り組みが長ければ長いほど、安定して、集客ができるようになります。ですが、成果を出すのがなかなか難しいのがコンテンツマーケティングでもあります。
そこで、この記事では、コンテンツマーケティングの目的・メリットデメリット・ポイントや成功事例まで紹介しています。ぜひ本記事をご参考に、あなたのECサイトのメディア化・コンテンツマーケティングを加速させていきましょう。
コンテンツマーケティングとは?
では、まず「コンテンツマーケティングとは何か?」についてお伝えします。もちろんご存知の方も多かろうと思いますが、コンテンツマーケティングとは、ユーザーのニーズに合わせたコンテンツを含むサイトを作ってマーケティングを行うことです。コンテンツマーケティングというと、コンテンツSEOのイメージがある方も多いと思いますが、コンテンツSEOはコンテンツマーケティングの一部です。
一言で「コンテンツ」といっても、形はさまざま。ブログ記事やメルマガの発信などはもちろん、ブランド雑誌の発行などもコンテンツといえます。自社商品やブランドを多くのユーザーに伝えたいと、コンテンツマーケティングを始める企業が年々増えてきています。
コンテンツマーケティングは、日本では2014年から流行し始め、2019年の市場規模は約6000億円になると予想されています。2014年から毎年120%の成長率で市場規模が拡大していて、今後ECサイトも含めた企業が成長するためには検討すべき手法の一つであるといえるのです。
ECサイトでコンテンツマーケティングを実施する3つの目的
さて、ECサイトでも取り入れられ始めているコンテンツマーケティング。なぜ、コンテンツマーケティングを取り入れる企業が増えているのでしょうか。ECサイトがコンテンツマーケティングを取り入れる目的は大きく分けて3つあります。
1. 商品、ECサイトの認知度を上げるため(新規顧客獲得)
1つ目の目的は「商品、ECサイトの認知度を上げるため」です。コンテンツマーケティングを実施することで、商品やECサイト自体の「認知」を獲得できます。
これまで、企業は広告宣伝や営業による勧誘によって商品の認知度を上げることに必死でした。しかし、自社のECサイトのコンテンツを充実させることによって、SNSや検索エンジン経由で多くのユーザーがサイトに訪れ、コンテンツに魅力を感じてサイトを利用するようになります。その結果、広告宣伝と同じような効果(新規顧客獲得)が得られるのです。
例えば、アメリカの事例ですが、掃除機メーカーの「Dirt Devil(ダートデビル)」は、自社コンテンツとして独自のホラー動画を制作。背筋が凍る怪奇現象は掃除機の吸引力のせいというオチですが、これが大人気となりブランドの知名度が一気に上がりました。その結果、世界での広告宣伝効果は約4800万ドルにも及びました。コンテンツマーケティングというと、SEOを狙ったものというイメージがありますが、これも立派なコンテンツマーケティングです。
2. 購買意欲を高めるため(CVR向上)
2つ目の目的は「購買意欲を高めるため」です。ECサイト上のコンテンツを充実させることで、ユーザーに対して「その商品のこだわりポイント」「この商品を使うの自分をイメージさせること」「ここで商品を買うのが楽しい」などと感じさせることができます。
安い商品を分かりやすく並べているだけのサイトでは、ユーザーは楽しく買い物をしているとはいえないかもしれません。コンテンツマーケティングをうまく活用している企業は、コンテンツを充実させて「このサイトでの買い物は楽しい! そして私の望みも叶えてくれるから、ここで買い物をしたい」とユーザーの満足度を上げようと努力し続けているのです。
例えば、ホームセンターの「コメリ」では、ユーザーが感じる疑問や悩みを解決する動画や記事をカテゴリ別に紹介しています。これによって、ユーザーは商品に関する知識を増やし、暮らしを豊かにするヒントを得ることで「もっと良い商品が欲しい」と考えられるようになりました。
3. リピート購入客を増やすため(ファン化)
3つ目の目的は「リピート購入客を増やすため」です。コンテンツマーケティングは新規顧客はもちろん、リピート購入客も増やすことができます。なぜなら、コンテンツを発信し続けることで「次もこのサイトで買い物がしたい」とファン化させることができるからです。
例えば、手作り革鞄工房「HERZ」のオウンドメディアでは、素材へのこだわりを紹介したりコミュニティサイトを開設したりすることで、ユーザーをファン化し自社商品をリピート購入へ促す工夫を行っています。
コンテンツマーケティングでうまくいっている企業は、メルマガ配信やSNSの投稿でECサイトや実店舗への再来訪を促しています。顧客との繋がりを大切にし、新規顧客をリピート顧客にする戦略をとっています。
コンテンツを一つのきっかけに、商品やサイト自体の認知度を上げて、ユーザーの購買意欲を高めさせるECサイトを作る。そして、顧客数が右肩上がりで増えていく。このサイクルによって、商品の売り上げやECサイトの訪問者数が増え続け、売上を上げる仕組みが作られます。企業がコンテンツマーケティングに成功すれば、売上が伸び続けて成長し続ける企業となるのです。
ECサイトでのコンテンツマーケティングのメリット・デメリット
これからの時代の、顧客の集客手段として欠かせないコンテンツマーケティング。しかし、効果を実感するまでには時間がかかるという側面も。ECサイトのコンテンツマーケティングには、メリットも多いですが、反面デメリットも存在します。皆さんのようなECサイト事業者は、メリット・デメリットの両面をしっかり把握して、コンテンツマーケティングをする必要があります。それぞれについて確認していきましょう。
□コンテンツマーケティングのメリット
コンテンツマーケティングのメリットは4つあります。
その1.自社努力により、低予算で始められる
1つ目は「自社努力により、低予算で始められる」ことです。広告費をかけてのマーケティング施策の場合、広告代理店に依頼して広告を作成してもらい広告出稿をするため、それなりの費用が必要でした。しかし、コンテンツマーケティングでは自社努力によりコンテンツを作成することで、それ自体が魅力ある広告となります。アイデアやコンテンツ作成工数は必要ですが、費用をかけずいつでもすぐに始められるのがコンテンツマーケティングのメリットの一つです。
その2.コンテンツがネット上に残る・資産になる(SEO効果)
2つ目は「一度作ったコンテンツがインターネット上に残り続け、資産になる」ということです。こちらのメリットは主にはSEOによる効果です。ポスターや広告は掲載しても、また違うものを掲載すれば以前の広告は見られなくなります。しかしコンテンツは、ECサイト上に残り続けるため、ユーザーが情報を検索すればそのコンテンツを見ることができます。良いコンテンツを作れば、ユーザーのニーズがある限りコンテンツはユーザーに届けられ続けます。
その3.SNSとも相性が良い
3つ目はTwitterやFacebookなどの「SNSと相性が良い」ことです。今の時代、SNSなしで企業や商品の知名度を上げることが難しくなってきています。良質なコンテンツはSNSで拡散され、ECサイトのアクセス数は増え、売上アップが期待できます。
その4.情報の発信源になれる
4つ目は「成功すればオピニオンリーダーになれる」ことです。良質なコンテンツを作り続けることで「あのサイトを見れば、知りたいことがすぐわかる」というユーザーの信頼からアクセス数を増やすことができます。ユーザーの悩みを解決する情報を載せることで、サイトで情報を得たユーザーが商品に興味を持って購入する流れが生まれます。
■コンテンツマーケティングのデメリット
一方、デメリットは3つあります。
その1.コンテンツを常に発信し続けなければならない
1つ目は「コンテンツを継続的に発信しなければならない」ことです。たしかに良質なコンテンツは、SEO効果などにより長くユーザーに読まれ続けます。しかし、SEO効果を上げるまでにはそれなりの数のコンテンツを作成する必要があります。またサイトも更新し続けないといけないため、相応の努力が必要になります。
その2.成果が現れるまで時間がかかる
2つ目は「成果が現れるまでに時間がかかる」ことです。多くのメリットを擁するコンテンツマーケティング。ですがコンテンツを作ってもすぐに収益が上がるわけではありません。始めたばかりであれば、SEOでの効果は、早くて1?3ヶ月、長いと1年以上かかることもあります。そのためECサイトの担当者は、結果が出ることを信じながら、良質なコンテンツの作成を継続する必要があります。コンテンツマーケティングは時間がかかるもの。その前提で、挫折することなく、ユーザーに魅力のあるコンテンツを作り続けましょう。
その3.担当者の選出や人材の確保をしなければならない
そして3つ目は、「ECサイト担当者の人材確保が必要」なことです。コンテンツマーケティングでは、コンテンツの品質を確保しながら、ある程度の数のコンテンツを作り続けなければなりません。コンテンツを作成するための人も必要になることと、マネジメントができる人を確保しなければなりません。そして先ほど申し上げたように、長期的に取り組まなければいけないので担当者・責任者の選定が大事なポイントでもあります。近年どの企業でも人手不足が問題になっています。この問題に向き合いながら、工夫してコンテンツマーケティングに取り組んできた企業こそ、成功している企業だといえます。
ECサイトでのコンテンツマーケティングのポイント
先ほど、コンテンツマーケティングのメリットとデメリットをご紹介しました。これらを踏まえた上でコンテンツマーケティングの成功するポイントを4つ紹介します。
ポイント1.目的を明確にする
1つ目は、「コンテンツマーケティングを行う目的を明確にする」ことです。「商品、ECサイトの認知度を上げたい」「CVRを上げたい」「リピート購入客を増やしたい」など、目的が違えば、作るべきコンテンツの内容も違ってきます。
例えば、アクセスを増やしたいならSEOのためのコンテンツ。購買意欲を高めたいなら、体験記事。リピート購買を狙いたいなら、メルマガコンテンツなど。
コンテンツ一つ一つに目的が存在します。目的もなく、ただ闇雲にコンテンツを作成しても時間がかかるだけで、結果、うまく見てもらえず売上アップに繋がりません。まずは先ほどご紹介した目的について、社内で話し合って、どのようなコンテンツが必要なのかを明確にしましょう。
ポイント2.自社商品を見つめ直す
2つ目は「自社商品を見つめ直す」ことです。自社のターゲットや商品の強みを再確認することも大事なポイントです。ペルソナという言葉がありますが、自社の商品のターゲットは何を求めているのか? ここが明確になっていないとユーザーのニーズとのミスマッチが起きてしまい、ユーザーが魅力に感じるコンテンツはできません。確認を疎かにせず、原点に振り返ることが重要です。
ポイント3.コンテンツの質にこだわる
3つ目は「コンテンツの質にこだわる」ことです。コンテンツマーケティングで成功するには、つまるところ、ユーザーの心を動かし行動させるほど魅力的なコンテンツが必要です。「わかりやすい」「見ていて楽しい」「使ってみたい」と思ってもらう、そんなコンテンツです。そのためにはポイント1、2を踏まえて、十分に読みやすいテキストと情報、写真などにこだわって作成しましょう。
ポイント4.チームでコンテンツを制作する
4つ目は「ECサイトをチームで継続させる」ことです。先ほど、デメリットのところでもお伝えしましたが、常に情報を発信し続け魅力のあるECサイトを作るには、それなりの人手と労力が必要です。コンテンツマーケティングで成功を掴んでいる企業の多くは、プロジェクトチームを発足してチーム一丸となってECサイトの運営を行っています。
一人のマンパワーでは負担が大きいだけでなく、アイデアも生まれにくい。ですから、ECサイト運営者だけではなく、仕入れ担当者、製造に関わっている方、店舗スタッフなどそれぞれが得意とするコンテンツを担当分けし、チームメンバーや協力者を確保した上で、ECサイトのコンテンツ運営に取り組みましょう。
ECサイトでのコンテンツマーケティングの成功事例
コンテンツマーケティングで成功しているECサイトは、どのようなものなのか? 気になりますよね。ここでは、コンテンツマーケティングの成功イメージをつけるために、成功事例を2つご紹介します。
今、自然をテーマにしたシンプルなデザインの北欧雑貨が女性を中心に人気です。そんな北欧雑貨や北欧家具を専門にした通販ショップ「北欧、暮らしの道具店」は、コンテンツマーケティングを匠に活用し、急成長を遂げたECサイトです。
2007年にECサイトをオープン。ECサイトを「ものを販売する場」ではなく「雑誌のようにサイトを読んで楽しむ場」として情報を提供しています。
サイトのデザインをシンプルなものにするだけでなく、月に20~30の商品ページを更新し4本の特集記事も掲載しています。40種類以上あるコンテンツの中で顧客に人気なのが「スタッフの愛用品」。この会社では福利厚生の一環として、月に8個ほどの商品をスタッフに提供しています。実際に商品を使ったスタッフの声を記事作成に役立てているのです。
また、ほぼ毎日顧客にメルマガを配信し、サイトに訪れていない顧客を再来訪させる工夫をしています。これらの取り組みにより、2年で売り上げが2億円を超えるようになりました。
オーガニックやボタニカルのブームにより、話題になっているECサイトが「石けん百貨」です。扱う商品はどれも環境に配慮した原料や製法にこだわったものばかり。石鹸はもちろん、シャンプーや洗剤、掃除用品も人気です。「商品を選ぶ目と活用するテクニックを身につけてもらいたい」という想いを大切にしています。
良い商品を顧客に届けるために、石鹸やオーガニックなどに関する知識を紹介するコンテンツ制作にも着手。通販ページだけではなく、姉妹サイトをいくつか開設して、石鹸に関する基礎知識やコアな知識まで紹介しています。
姉妹サイトの開設によって、Google Analyticsのアクセス状況にも変化が現れているようです。2011年から2014年のオーガニック検索流入比は、「石鹸百貨」から3.3倍、「読んで美に効く基礎知識」からの流入は6.8倍、ネットショップの「石けん百貨」でも2.2倍と好調な伸び率です。このように姉妹サイトを作ることで、セグメントが違うユーザーの集客をも狙っているのです。
まとめ
いかがでしたか? 本記事では、コンテンツマーケティングの目的・メリットデメリット・ポイントや成功事例まで紹介してきました。
「ECサイトでのコンテンツマーケティングについて知りたい」
「SEOでアクセスをもっと集めたい」
これらについてのヒントは得られましたでしょうか? 冒頭お伝えした通り、ECサイトで成果を出すことが年々難しくなる中、注目されているのがコンテンツマーケティングです。しかし、本記事で紹介した通り、すぐに簡単に誰でも成果が出るようなものではありません。ただ、今後、安定的・継続的にECサイトを成長させるのに絶対に必要なのが、コンテンツマーケティング・ECサイトのメディア化でもあります。
ぜひじっくり取り組んでいただけたらと思います。本メディアでは、今後もECサイトのメディア化に関する情報を定期的にお届けしていきます。