ECサイト事業者必見!軽減税率について解説(対象商品、注意点、適用タイミングなど)

2019-04-20 00:00:00 / 最終更新日:2019-12-26 14:21:07

「ECサイトでの軽減税率について知りたい!」

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この記事は、そんな方のために書かれた記事です。いよいよ、2019年10月1日より軽減税率が実施されます。それに伴い、ECサイト事業者の皆様も軽減税率に対応しなければなりません。しかし、メディア等でも取り上げられている通り、軽減税率は、同じ商品でも利用シーンによって税率が変わるので「複雑」というイメージがありませんか?

そこで、この記事ではECサイト事業に向けて軽減税率の対象商品、注意点、適用タイミングなどについて解説していきます。

税法は「知らなかった」ではすまされません。ECサイト事業者が軽減税率に関して知っておくべきことを、順を追って説明して参ります。

ECサイト事業者が知っておくべき、軽減税率制度とは?

ではまず、ECサイト事業者が知っておくべき、軽減税率制度について解説していきます。


ポイントは以下の3つです。

  1. 軽減税率の対象商品の把握

  2. 軽減税率で注意が必要な送料の取り扱い

  3. 仕入れ時に注意が必要な商品

順番に見ていきましょう。


1.軽減税率の対象商品の把握


まず、軽減税率の対象商品について。以下に簡単な軽減税率対象、対象外商品の一覧を記載しました。基本的に生活必需品は軽減税率対象ですが、判断に悩むモノも。詳細については財務省のページをご確認ください。


軽減税率対象(8%)標準税率(10%)

飲食料品

(野菜、鮮魚、精肉、ミネラルウォーター、など)

飲食料品に該当しない

(観賞用の魚、ペット、水道水、酒類等)

飲食料の譲渡

(テイクアウト、出前、学校給食など)

飲食料の譲渡に該当しない

(その場で食べる外食全般)

新聞

(定期購読)

新聞の譲渡に該当しない

(電子新聞、コンビニ新聞)

参照:消費税の軽減税率制度等に関する資料 : 財務省

2.軽減税率で注意が必要な送料の取り扱い 

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次に、ECサイト事業者が軽減税率で注意すべき「送料」についてお伝えします。基本的に送料は軽減税率対象外ですが、送料込みで飲食物を譲渡する場合は軽減税率適用、別途送料を設定する場合は適用外になります。 (例) ロースハムセット(送料込み)・・・商品(飲食物)と送料、共に8% ロースハムセット(送料別)・・・商品(飲食物)は8%、送料は10% ワインセット(送料別)・・・商品(酒類)と送料、共に10%

3.仕入れ時に注意が必要な商品 


商品によっては、販売時と仕入時で消費税率が違うものがあります。包装材を例に挙げると、必要範囲内と認められる包装(例:プリンを入れる容器やフタ、スプーンなど)は飲食物と包装を「一体資産」として扱うので、軽減税率対象になります。(一部例外もあり)

しかし、飲食物と包装が別になる場合(贈答用の化粧箱など)、包装材の消費税は軽減税率適用外になります。販売時には影響しませんが、のちに発生する消費税の計算や消費税の申告時には必要な情報になりますので、申告時に慌てないようにしっかりと分けておく必要があります。

ECサイトが取るべき軽減税率対応とは?

2.消費税の計算ロジックの決定次に、ECサイトが取るべき軽減税率対応について解説していきます。対応には以下の3つがあります。


  1. 取扱商品の税率確認

  2. 消費税の計算ロジックの決定

  3. 表示側の準備


1.取扱商品の税率確認 


まず自社で販売している品目を確認する必要があります。

・軽減税率対象商品のみを販売している・・・消費税率8%

・軽減税率対象商品と、対象外商品の両方を販売している・・・商品登録時にそれぞれ消費税8%、10%と登録する必要があります。

・軽減税率対象外商品のみを販売している・・・消費税率10%

ご覧の通り、最も複雑なのが「軽減税率対象商品と、対象外商品の両方を販売している」場合です。

送料やサービス料を含め、軽減税率の対象かどうかを1品ずつ確認し、それぞれの税率を設定する必要があります。商品毎もしくは商品カテゴリ毎に税率の設定ができるように、カスタマイズする必要があります。

2.消費税の計算ロジックの決定


消費税計算の小数点を、四捨五入・切り上げ・切り捨てにするのかなどの計算ロジックを、設定しておく(設定してもらう)必要があります。すでに設定されている方もいると思いますが、このタイミングで再確認してみてはいかがでしょうか。また、クーポンやキャンペーン、ポイントなどを使った値引きとの兼ね合いで、今後さらに複雑になると考えられます。

 3.表示側の準備 

3.表示側の準備


新税法開始後に商品やサービスを売るには、複数の消費税に対応したECカートシステムを準備しなければなりません。軽減税率のガイドラインに沿って、商品ごとに「標準税率」と「軽減税率」を適用した販売価格を表示する必要があります。

商品一覧画面の税込み価格を、商品ごとに書き換えるだけでは不十分です。商品の価格・小計値・合計値の計算が、消費税率が異なるものを入れたとしても、きちんと表示できるようにしておく必要があります。

ECサイト事業者が知っておくべき、消費税率適用になるタイミング

次に、ECサイト事業者が知っておくべき、消費税率適用になるタイミングについて解説していきます。商品やサービスに消費税が計上されるタイミングは、法律では「消費税の課税対象は、課税事業者が行った『資産の譲渡等』(消費税法4条1項)」とされています。つまり売り手から買い手に商品が引き渡されたタイミングで消費税が課税されるということです。


店舗ビジネスの場合はリアルタイムで商品の受け渡しがあるので、そのタイミングで課税します。しかしECサイトの場合は、購入を済ませた日付でも、到着した日付でもありません。店側が発送した日、つまり商品を譲渡のため手放した日付が課税のタイミングとなります。


そのため、お客様が2019年9月30日に購入を済ませても、2019年9月30日中に店側が発送しなければ、新しい税率で計算されることになります。お客様によっては、「2019年10月1日以前に購入すれば新しい税率対象にならない」と考えている方も多いかもしれません。


こちらについても「税法改正直前の購入の場合、発送タイミングによっては新税法が適用されます」の旨、サイト内に事前告知しておく方が無難です。未告知の場合、クレームに発展する可能性がありますので注意が必要です。

まとめ

以上、「ECサイトにおける軽減税率の対象商品、注意点、適用タイミングなどについて」を解説しました。一口にECサイトの軽減税率対応といっても、販売しているモノやサービスによって必要な対応が異なります。

また、カートのカスタマイズや開発が必要となると、自社では技術的に難しい面もあるかと思います。そのために、現在利用しているECサイトが、どのように構築されているのかを、この機会に再確認してみてはいかがでしょうか。ECサイトパッケージやASP、クラウドサービスなどであれば、構築会社の担当の方に連絡しどのように対応すればいいか、あらかじめ聞いておくと新税率へもスムーズに移行できそうです。

軽減税率の対応を後回しにすると、直前になってバタバタしてしまい、すべての作業が後手に回ってしまいます。増税前の駆け込み需要を見込み、軽減税率の対応を早めに行って、気持ちに余裕を持ってお客様対応に注力して頂ければと思います。